270619 #thk6481 答弁書 越谷市から 福祉部国民健康保険課長 竹内克行
平成27年(ワ)第566号 不当利得返還請求事件 志田原信三
「NTTデータから報告を受けている」
「NTTデータに問合せ、電算データにも痕跡はないことを確認している」
平成27年(ワ)第566号 不当利得返還請求事件 志田原信三
原告 上原マリウス
被告 越谷市外3名
答弁書
平成27年6月19日
さいたま地方裁判所 第4民事部 1係 御中
〒343-8501
越谷市越ヶ谷四丁目2番1号
越谷市役所総務部文書法規課(送達場所)
電話 048-963-9130(直通)
FAX 048-965-6433
被告越谷市指定代理人
福祉部国民健康保険課長 竹内克行
同
福祉部国民健康保険課 調整幹 濱野直樹
同
総務部文書法規課 副課長 黒田秀和
同
総務部文書法規課 主査 大塚善太
第1 請求の趣旨に対する答弁
1 原告の被告越谷市に対する請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
との判決を求める。
第2 請求の原因に対する答弁(認否および反論を含む)
訴状の記載は、番号等が付番されていないため、便宜上、被告越谷市において原則としてページごとの形式段落により付番し、被告越谷市に関係する部分に限定して認否を行う。
1 2ページ「請求の原因」第1段落(2ページ「請求の原因」1行目から3行目まで)について
「相続をした」とする部分は不知。その余は認める。
2 2ページ「請求の原因」第2段落(2ページ「請求の原因」4行目及び5行目)について
認める。
越谷市税等コンビニ収納業務委託契約書(以下「契約書」という。)及び越谷市税等コンビニ収納基本仕様書(以下「仕様書」という。)は乙第1号証のとおりである。
3 3ページ第1段落(3ページ1行目及び2行目)について
認める。
4 3ページ第2段落(3ページ3行目及び4行目)について
否認する。
被告越谷市は、「埼玉りそな銀行越谷支店」を地方自治法(昭和22年法律第67号)第235条第2項の規定による指定金融機関とし、口座を有するが、契約書第3条は、指定金融機関の根拠ではない。
5 3ページ第3段落(3ページ5行目から7行目まで)について
否認する。
6 3ページ第4段落(3ページ8行目から11行目まで)について
不知
ただし、POSレジ(バーコードを読み取りネットワークを通じてその内容をコンビニエンスストア本部に送信するシステムをいう。以下同じ。)においてバーコードを読み取った形跡がないことは、訴外株式会社エヌ・ティ・ティ・データ(以下「NTTデータ」という。)から報告を受けている。
また、仮に取り違えたとするならば原告が確認したレシートが10月分納付(第5期)額の金額となるはずである。
7 3ページ第5段落及び第6段落(3ページ12行目から15行目まで)について
否認する。
(1)仕様書第7条について
仕様書第7条第2項には、NTTデータは「コンビニ本部から受信した確報をコンビニ本部から入金された収納金と照合し、金額が一致していることを確認」する旨が規定されている。
したがって、NTTデータは、「バーコード付き納付書を読取り、速報値と突合し、一致すれば確報値とする」業務は行わない(乙第1号証)。
(2)事故の認識について
仕様書(乙第1号証)第10条の規定により収納事務において、事故発生を確認した場合は、報告等の対応を図ることとなっているが、本件については、原告が主張するセブンイレブン越谷大間野店で平成19年度第5期から第10期までを納付したというデータが存在しないため、被告越谷市及びNTTデータには事故発生の認識はない。
したがって、NTTデータには報告の必要性がないため、契約不履行ではない。
8 3ページ第7段落(3ページ16行目及び17行目)及び4ページ第1段落及び第2段落(4ページ1行目から3行目まで)について
不知
9 4ページ第3段落及び第4段落(4ページ4行目から8行目まで)について
否認する。
平成19年10月19日のセブンイレブン越谷大間野店における国民健康保険税の納付の速報及び確報は、被告越谷市に配信されていない。
10 4ページ第5段落及び第6段落(4ページ9行目から14行目まで)について
不知。
ただし、原告の主張どおりであれば通報義務違反であるが、速報は通常どおり被告越谷市に配信されており、事故の存在は認められない。
また、POSレジにはバーコードを読み取った形跡がないことは、NTTデータから報告を受けている。
11 5ページ第1段落(5ページ1行目から3行目まで)について督促状の送付については認め、その余は否認する。
「11月分の請求書」が11月30日納期限の平成19年度第6期のことであれば、平成20年1月4日に督促状を発送している。
ただし、原告宛ではなく原告の母亡上原マリ(以下「亡上原マリ」という。)宛である。これは納付が確認できないためである。
また、事故を把握していなかったのではなく、事故がなかったと認識している。
12 5ページ第2段落(5ページ4行目及び5行目)について
否認する。
NTTデータ等は、事故の発生を認識していない。また、被告越谷市からの調査依頼に対し、各々調査し、回答していることから、契約不履行には当たらない。
さらに、被告越谷市は、原告の問い合わせに対し、改めて調査を実施し、調査結果に基づく事実を回答しており、行政の不作為もない。
納期限までに納付確認ができない場合は、督促状を発送し、それでも納付がない場合は、催告書により支払いを促している。
これらは、法定の手続きである。また、納税義務者は、原告ではなく、亡上原マリである。
13 5ページ第3段落及び第4段落(5ページ6行目から9行目まで)について
督促状を送付したこと及び督促状又は催告書により納付されたことは認め、その余は不知(納付日等は、乙第2号証のとおりである。)。
ただし、督促の相手方は、原告ではなく、亡上原マリであり、その送付は、納期限ごとに1回である。
14 5ページ第5段落(5ページ10行目から13行目まで)について一部は認めるが、その余は不知ないし否認する。
「恫喝」及び「不法利得18500円を得た。」については否認する。
督促状送付後も納付確認できない場合は「再督促状」ではなく、催告書の送付等を行う。催告書においては、延滞金、滞納処分、保険証の返還等について案内することがあることは認める。
ただし、「恫喝」ではなく、これらは法定の手続きであり、「延滞金に対し14.5%の利息」ではなく「本税に対し14.6%の延滞金」である。
また、納付した者が誰かは不知であるが、「3月分」が平成20年3月31日納期限の平成19年度第10期のことであるとすれば、平成20年7月23日催告書によりコンビニエンスストアで納付されている。
「調査依頼」については、何の調査依頼か不明のため不知。
15 5ページ第6段落(5ページ14行目及び15行目)について
否認する。
平成19年度第5期から第10期分までの正当な納付を受けたものである。
16 5ページ第7段落及び6ページ第1段落(5ページ16行目から6ページ5行目まで)について
不知ないし否認する。
「平成20年1月11日のセブンイレブンからの転送メール」は原告とセブンイレブンとのやり取りであり内容については不知、「平成20年1月16日作成のアイネス明細、」は何を指しているのか不明のため不知、「平成20年1月28日のNTTデータへの事故の照会に対するNTTデータからの報告」は、納付の事実が確認できないというものである。
被告越谷市は、調査の結果、事故はないと考えている。調査については、後述する。
17 6ページ第2段落(6ページ6行目及び7行目)について
否認する。
原告の主張する平成19年10月19日のセブンイレブン越谷大間野店における国民健康保険税の納付のデータは、速報データ、確報データを確認したが、存在せず、事故の存在を確認できない。
18 6ページ第3段落(6ページ8行目及び9行目)について
否認する。
コンビニエンスストアでの納付の仕組みは後述する。
19 6ページ第4段落(6ページ10行目及び11行目)について認める。
ただし、「平成20年5月17日メール」を「平成20年5月12日送信のメール」に訂正して認める。
20 6ページ第5段落(6ページ12行目及び13行目)について
一部は認めるが、その余は否認する。
平成20年7月7日付けで、越谷市長名において通知書を送付したことは認める(乙第3号証)が、「越谷市長は、破棄を確認すると」は否認する。
この通知書は、それまでの調査を踏まえ、原告の主張する納付の確認ができないため、領収証書の提示がなければ、これ以上の調査ができないことを通知したものである。
21 6ページ第6段落(6ページ14行目から19行目まで)について
一部は認めるが、その余は否認する。
通知書に「調査の結果、平成19年10月19日の指定金融機関の領収印が押印された『平成19年度国民健康保険税第5期分』の納付書の越谷市控え分が現存しています」という趣旨の記載があること及び「コンビニ納付では、越谷市に控えはない。」は、認める。
その余は否認する。
通知書の「越谷市控え分が現存する」との記載は、事実を示したに過ぎず、「原告を騙す目的で」はない。
また、コンビニエンスストアでの納付では被告越谷市に領収済通知書は送られてこないため、被告越谷市に控えはない。
なお、平成19年度国民健康保険税第5期分の納付は、指定金融機関市役所内派出所でなされたものである。
22 7ページ第1段落(7ページ1行目から3行目まで)について
一部は認めるが、その余は不知ないし否認する。
「領収書のご提示がない限り、これ以上調査を行なうことはできない」趣旨を記載したことについては認める。
「説明責任の回避であり、行政の不作為である。」については否認する。
被告越谷市は調査を尽くしたので、なんらの不作為も生じていない。
また、「領収書が無くても、電算データには、痕跡が残っている。」は不知ないし否認する。
後述するようにNTTデータに問合せ、電算データにも痕跡はないことを確認している。
23 7ページ第2段落(7ページ4行目及び5行目)について
否認する。
原告の推測に過ぎずそのような事実はない。
24 7ページ第3段落(7ページ6行目及び7行目)について
認める。
ただし、被告越谷市では、回答の内容が原告にとって不利益であるため、広義の意味では処分に当たると判断し、不服がある場合に行政不服審査法により市への申立てができることを教示したものである。
25 7ページ第4段落(7ページ8行目から10行目まで)について
一部は認めるが、その余は否認する。
「被告越谷市長は、銀行納付の根拠として、埼玉りそな銀行派出所の押印が根拠であると主張する。」については認める。
その余については否認する。
コンビニエンスストアでの納付の場合は、各コンビニエンスストア所定の領収印、指定金融機関市役所内派出所での納付の場合は、指定金融機関の領収印が押印されるものであり、それぞれ異なる領収印を使用している。
したがって、指定金融機関の領収印が押印されている領収済通知書(乙第4号証)は、指定金融機関で納付されたものの根拠となる。
26 7ページ第5段落(7ページ11行目及び12行目)について
否認する。
それまでの調査結果を踏まえた文書であり、一方的ではない。
27 7ページ第6段落(7ページ13行目から17行目まで)について
一部は認めるが、その余は不知
決定書の受領日は不知。異議申立てに対する決定書は、平成20年10月14日に配達記録で送付した。
留置期間経過で返戻されたため、平成20年10月24日に普通郵便で再送付した。「内容は、」以下は認める。
28 7ページ第7段落(7ページ18行目)について
一部は認めるが、その余は否認する。
「コンビニ納付では越谷市の保管はない。」は認める。
その余は否認する。
コンビニエンスストアでの納付では、被告越谷市に領収済通知書は送られてこないため、被告越谷市に控えはない。
また、平成19年度国民健康保険税第5期分の納付は、指定金融機関市役所内派出所でなされたものであるので、被告越谷市に控えが保管されており、「虚偽説明」ではない。
29 7ページ第8段落(7ページ19行目及び20行目)
一部は認めるが、その余は否認する。
「異議申し立てをしたにも関わらず前田博志職員が起案」したことは認めるが、その余は否認する。
異議申立ては、処分庁が不服申立てに対する決定をする制度である。
当時本件の所管課に所属していた前田職員が起案することに、何らの犯罪的な行為は存在しない。
30 8ページ第2段落(8ページ10行目及び11行目)について
一部は認めるが、その余は不知
物証が領収証書を指すのであれば認める。
原告の主張するセブンイレブン大間野店において平成19年10月19日午後11時57分に納付したことを示す記録を被告越谷市は所有しておらず、被告越谷市の調査においてもNTTデータから「納付の記録なし」と回答を得ていることから、原告に納付を証明する領収証書の提示を求めたものである。
また、原告が「平成21年1月から3月にかけて開示請求」を行ったことについても認める。
31 8ページ第3段落(8ページ12行目から14行目まで)について
否認する。
鎗田職員に確認したところ「セブンイレブンとの直接契約はない。」との説明をした記憶はあるとのこと。
32 8ページ第4段落(8ページ15行目から17行目まで)について
一部は認めるが、その余は否認する。
原告に対して、個人情報を伏せたコピーにより閲覧させたことは認める。
納税義務者は、原告ではなく亡上原マリであり、納税義務者本人の同意が確認できなかったためである。
ただし、その後同意書が提出されたため、全部を閲覧させている。
「実物を見せることで、裏面印字の管理票コードが知れることを回避する目的である。」は否認する。
33 8ページ第5段落(8ページ18行目から20行目まで)について
否認する。
正確なやり取りは約8年前であるため不明だが、被告越谷市に送信される確報データは、NTTデータが領収日付順に各コンビニエンスストア分を集約していることを職員は認識しているため、セブンイレブンから単独で送られてくるというような説明はしない。
34 8ページ第6段落(8ページ21行目から23行目まで)
「閲覧させた文書は、エクセルで作成の文書であった。」は認める。その余は、否認する。
確報データは、単に数字の羅列に過ぎないため、これをエクセルで書面化し、個人情報開示請求に応じた。その際、平成19年10月19日のセブンイレブン領収分を抜き出し一覧表とし、個人情報を伏せて開示したものである。
「これは編集できる文書ですか」と質問すると、「編集できる」。とのやり取りがあったかは、不明。
また、「本物」が何を指すか不明であるが、個人情報の開示については、警察からの依頼であっても越谷市個人情報保護条例の規定により、捜査上必要と認めない限りは開示しないため、そのような説明はしない。
35 9ページ第1段落及び第2段落(9ページ1行目から7行目まで)について
認める。
36 9ページ第3段落(9ページ8行目及び9行目)について
否認する。
原告の問合わせに対し被告越谷市は、後述のとおり調査を尽くしており、被告越谷市市長の面談の必要はないと判断した。したがって「越谷市長による不作為」はない。
また、本件に関し、被告越谷市市長は、いかなる犯罪事実も把握しておらず、犯罪を隠ぺいした事実はない。
37 10ページ第3段落(10ページ13行目から15行目まで)について「不法利得の返金を求める」趣旨の郵便があったことは認める。
平成26年8月29日に受領している。ただし、「不法利得」とは考えないため、38のとおり回答している。
38 11ページ第1段落(11ページ3行目から5行目まで)について
認める。
「ご希望の対応はいたしかねる」趣旨の文書を送付した。
39 12ページ第2段落及び第3段落(12ページ4行目から12行目まで)について
「平成26年9月9日開示請求」があったことは認める。
その余は否認する。
本件に関し、保存されている公文書は決裁文書(乙第5号証)のみであり、その他の資料はないことから、原告が求める資料は、「不存在」と回答している。
40 12ページ第4段落(12ページ13行目から15行目まで)について
否認する。
調査において原告の主張する納付は確認できなかった。
41 13ページ第1段落(13ページ1行目及び2行目)について
否認する。
被告越谷市は、原告の問い合わせに対し、調査を実施し、事実を回答している。
42 13ページ第2段落(13ページ3行目から6行目まで)について
一部は認めるが、その余は否認する。
納付が確認できなかったため、「督促状を送付し」たことは認める。その余は否認する。
問い合わせに対し、調査を実施し、事実を回答した。調査の結果、過払金の記録はなく不当利得はない。
43 13ページ第3段落(13ページ7行目及び8行目)について
不知ないし否認する。
被告越谷市が、「原告を騙す目的を持ち偽のジャーナルを作成」する調整をじた事実はない。
44 13ページ第5段落(13ページ12行目から14行目まで)について否認し、争う。
第3 被告越谷市の主張
1 国民健康保険税におけるコンビニエンスストア納付について
被告越谷市の主張の前に事案を整理するため、国民健康保険制度及びコンビニエンスストアにおける納税の仕組みについて簡潔に述べる。
(1)国民健康保険税の納税義務者及び納付について
国民健康保険の被保険者の世帯主は、地方税法(昭和25年法律第226号)703条の4の規定及び越谷市国民健康保険税条例(昭和30年条例第33号)に基づく国民健康保険税の納税義務者となる。
国民健康保険税は、1年分を一括又は第1期から第10期までの10回の分納のいずれかの納付方法により納めることとなる。
(2)コンビニエンスストア納付の仕組みについて
コンビニエンスストアでの納付は、地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)第158条の2第1項の規定及び越谷市会計規則(平成5年規則第22号。乙第6号証)第27条の2の規定による委託により実施するものである。被告越谷市は、被告越谷市とNTTデータとの委託契約(乙第1号証)によりNTTデータを通じて各コンビニエンスストアで納付された国民健康保険税を収納する。
(納付の仕組みは、乙第7号証のとおり)
コンビニエンスストアでは、POSレジにより納付書に印刷されたバーコードを読み取り、税を領収し、納付書(乙第8号証)に各コンビニエンスストア所定の領収印を押印するとともに、納付書から切り取った領収証書及びレジから出力されるレシートを納税者に交付する。
各店舗の納税データは、原則コンビニエンスストア本部に送られ、さらに各コンビニエンスストア本部からNTTデータに送られ、そこで集計振り分けられ、被告越谷市のシステムに「速報データ」として送信される。
この速報データは、被告越谷市が管理する収納システムの各納税義務者の個人画面(乙第9号証)に速報として(画面上「速」と表示される。)反映される。
各コンビニエンスストア店舗で支払われた現金及び領収済通知書は、集計されコンビニエンスストア本部に集められる。
コンビニエンスストア本部は、領収済通知書と速報データを突合して確報データを作成する。領収済通知書は、コンビニエンスストア本部で保管される。
その後NTTデータにおいて確報データと現金が一致していることを確認して、被告越谷市指定金融機関の埼玉りそな銀行越谷支店の口座に収納される。
現金の収納により、収納システムの個人画面に収納情報として領収日及び収納日が反映されることとなる。
以上がコンビニエンスストア納付における納付の仕組みである。
2 経過及び立証責任について
(1)経過について
被告越谷市が行った亡上原マリに対する課税処分に基づく平成19年度分の国民健康保険税の支払いは、正当なものであり、民法703条の「法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け」たものではない。
まず、納税義務について整理する。亡上原マリは、昭和62年6月18日から平成20年4月2日まで国民健康保険の被保険者であった。
平成19年度当初の国民健康保険税については、当時世帯主であった者が納税義務者であったが、平成19年9月18日に亡上原マリは世帯主となったことにより以後(第5期分から)納税義務者となった。
そして、原告からの最初の問合せは平成20年1月7日の被告越谷市宛のメールであった。平成19年10月19日に亡上原マリの平成19年度第5期から第10期分についてセブンイレブン大間野店で支払ったが、同年度第6期の督促状が届いたというものであった。
当時、被告越谷市が確認できた納付は、平成19年10月19日午前11時57分指定金融機関市役所内派出所における第5期分3,900円のみである。この納付についてはコンビニエンスストアでの納付と手続きが異なるため、納付書の一部である領収済通知書を被告越谷市が保管している。(乙第4号証)
原告が不当利得と主張する平成19年度第6期から第10期までの国民健康保険税について被告越谷市としては、納付がされていないため、通常の手続きに基づき督促をし、最終的に納付されたものであるから、不当な利得ではないと考えている。
(2)立証責任について
原告が主張するように平成19年度第6期から第10期までの亡上原マリの国民健康保険税の納付が民法703条の要件である「法律上の原因なく」被告越谷市に納付されたものというためには、二重払いであるということを立証しなければならない。
原告主張の二重払いの立証責任は、被告越谷市ではなく原告にある。
国民健康保険税の納付の証明となる国民健康保険税領収証書を「この領収証書は7年間保管してください。」との記載があるにもかかわらず、廃棄したとすれば原告の重大な過失である。
しかし、仮に領収証書がない場合であっても、データ上の記録があれば納付は認められることも当然である。
本件の場合は、被告越谷市は次に述べるように調査を行い、コンビニエンスストアから被告越谷市の口座に支払いの記録がないことを確認している。
したがって、被告越谷市としては、納付はなかったといわざるを得ない。
3 被告越谷市が行った調査について
被告越谷市では、原告の問い合わせを受け、調査を行った。
まず、被告越谷市は、保有する情報によりNTTデータから被告越谷市への納付総額と速報データ、確報データとの間に齟齬がないことを確認した。
また、被告越谷市は、保有する速報データにより、セブンイレブン大間野店では、平成19年10月19日国民健康保険税の納付が1件もないことを確認している。
原告提出の甲第5号証は、亡上原マリの情報を除く個人情報を非公開とする必要から部分開示されたものであるが、収納店舗コード(乙第10号証)からもセブンイレブン人間野店が含まれていないことは明らかである。
さらに、被告越谷市は、コンビニエンスストアとの間に直接の契約関係はないため、NTTデータに対し、平成20年5月13日正式に文書による照会(乙第11号証)を行った。
その回答によると、亡上原マリの納付書に記載されたバーコードにより照合したところ、平成19年度分の支払記録はないとのことである。
以上のように、被告越谷市は、平成19年度から平成20年度にかけて原告の主張に対し誠意をもって調査を行ってきたが、平成20年7月7日に送付した文書(乙第3号証)のとおり、これ以上の調査は難しいと判断し、調査を打ち切ったものである。
4 争点
被告越谷市では、原告が主張する平成19年10月19日午後11時57分にセブンイレブン大間野店での亡上原マリ分平成19年度越谷市国民健康保険税第5期から第10期までの国民健康保険税の納付があったか否かが本件の争点になっていると考える。
第4 結論
以上検討したように、被告越谷市は、原告の問い合わせに対し誠意をもって回答しており、調査の結果、被告が主張する平成19年10月19日午後11時57分にセブンイレブン大間野店での訴外上原マリ分平成19年度越谷市国民健康保険税第5期から第10期までの国民健康保険税の納付の事実は確認できなかった。
よって、二重払いの事実はない。したがって、原告の主張は、事実誤認と憶測によるものと言わざるを得ない。
また、被告越谷市は、平成19年度国民健康保険税第5期から第10期までの納付について、通常の納付を受けたもので、これらは不当利得ではない。
以上のことから、原告の被告越谷市に対する請求は、棄却されるべきである。
添付書類
1 証拠説明書 1通
2 乙号証写し 各1通
3 指定代理人指定書 1通
270619 #thk6481 答弁書 越谷市から 福祉部国民健康保険課長 竹内克行
平成27年(ワ)第566号 不当利得返還請求事件 志田原信三
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