2026年10月18日日曜日

相談261018 回答抜取り 作業妨害 テキスト化の欠落部分 調査官報告書 上告理由 法定手続きの保障 調書決定で裁判できない

相談261018 回答抜取り 作業妨害 テキスト化の欠落部分 調査官報告書 上告理由 法定手続きの保障 調書決定で裁判できない

 

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◎相談 225p後半 調書決定適用の違法 欠落

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◎相談 226頁後半をテキスト化して下さい。

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◎相談 227頁後半をテキスト化して下さい。

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◎相談 228頁後半をテキスト化して下さい。

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◎相談 229p頁後半をテキスト化して下さい。

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Ⓢ 相談261017の2 テキスト化 222頁から229頁まで

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Ⓢ 相談261018の2 作業妨害 段落番号付与 調査官報告書 再度依頼します

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相談261018の2 作業妨害 段落番号付与 調査官報告書 再度依頼します

相談261018の2 作業妨害 段落番号付与 調査官報告書 再度依頼します

 

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◎相談 以下の調査官報告書p221からp229までに段落番号を付与して下さい。

段落番号は 数字φ で表示して下さい。 φだけは太字にして下さい。

解説は必要ありません。

通しで全文完成させてください。

確認事項がありましたら、最初に質問して下さい。

 

【 p221 】

52

一、旧関税法(昭和二九年法律第六一号による改正前の関税法をいう)  第八三条第一項により第三者の所有物を没収することは、憲法第二九条、第三一条に違反するか。

 

 二、第三者所有物の没収の違憲を理由として上告することができるか。

 

(昭和三〇年(あ)第九九五号、同三七年一一月二八日大法廷判決、破棄自判

 第一審 福岡地裁小倉支部、第二審 福岡高裁

 関税法違反被告事件 刑集第一六巻一一号一五七七頁)

 

52

旧関税法(昭和二九年法律第六一号による改正前の関税法をいう。)第八三条第一項により第三者の所有物を没収することは、

憲法31条、第29条に違反するか 第三者所有物の没収の違憲を理由として上告することができるか。

 

【 p222 】

【判決要旨】

一、旧関税法(昭和二九年法律第六一号による改正前の関税法をいう。)第八三条第一項の規定により第三者の所有物を没収することは、憲法第三一条、第二九条に違反する。

二、前項の場合、没収の言渡を受けた被告人は、たとえ第三者の所有物に関する場合であっても、これを違憲であるとして上告をすることができる。

(補足意見および少数反対意見がある。)

 

【参照条文】

旧関税法第八三条、憲法第二九条、第三一条、刑訴第四〇五条第一項

 

【解 説】

一、事実関係

被告人は他の者と共謀の上、衣料品等を機帆船厚陽丸に積み込み、韓国に密輸出しようとしたが、海上保安官に発見されて未遂に終った。

第一審判決は、右機帆船および貨物を没収し、第二審判決もこれを是認したが、これらはいずれも被告人以外の第三者の所有であった。

弁護人は、善意の第三者の所有物を没収することは、憲法二九条に違反するし、また所有者の不知の間にその意見、弁解を聴くことなく、善意の第三者の所有物を没収しうるとする旧関税法の規定は、憲法三一条、三二条に違反すると主張した。

二、本判決は、本件と同時に言い渡された昭和三〇年(あ)第二九六一号事件の判決と全く同趣旨である。ただ、本件が旧関税法違反事件であるため、現行関税法に関する右判決とは別に、これを判例とするのが適当であるという理由で、判例集に登載されることとなったものである。

(足立顯吉代理 脇田 忠)

 

【 p223 】

53

一、関税法第一一八条第一項により第三者の所有物を没収することは、憲法第三一条、第二九条に違反するか

二、第三者所有物の没収の違憲を理由として上告することができるか

 

(昭和三〇年(あ)第二九六一号、昭和三七年一一月二八日大法廷判決、破棄自判

 第一審 福岡地裁小倉支部、第二審 福岡高裁

 関税法違反被告事件 刑集第一六巻一一号一五九三頁)

 

【判決要旨】

一、関税法第一一八条第一項の規定により第三者の所有物を没収することは、憲法第三一条、第二九条に違反する。

二、前項の場合、没収の言渡を受けた被告人は、たとえ第三者の所有物に関する場合であっても、これを違憲であるとして上告をすることができる。

(補足意見および少数反対意見がある。)

 

【参照条文】

関税法第一一八条、憲法第二九条、第三一条、刑訴第四〇五条第一項

 

【解 説】

一、本件は、関税法の規定に基づく第三者所有物の没収を憲法三一条、二九条に違反するものと宣言した重要な判例であって、第三者没収につき最高裁がさきに昭和三五年一〇月一九日言い渡した二つの大法廷判例(昭和二八年(あ)第三〇二六号および同二九年(あ)第三六五五号、刑集一四巻一二号一五七四頁、同一六一一頁)は、これにより変更されたのである。本件と同時に、旧関税法違反事件についても、別稿のとおり本件と全く同旨の判決(昭和三〇年(あ)第九九五号)が言い渡されており、更に数件の同旨の判決がこれに引き続いて言い渡された。

二、いわゆる第三者没収については、(イ)没収は第三者の所有権を剝奪するものかどうか、(ロ)善意の第三者の所有物を没収することができるかどうか(旧関税法の場合、(ハ)第三者たる所有者に告知、弁解、防禦の機会を与えないでその所有物を没収することが憲法に違反しないか、(ニ)没収の言渡を受けた被告人は、第三者没収の違憲を理由として上告することができるか、(ホ)没収された物の所有者は、後に自己の権利が侵害されたことを主張して没収物の返還を請求することができるか等の問題があり、これらの問題に関連して最高裁には従来三つの大法廷判決があった。

53

関税法第一一八条第一項により第三者の所有物を没収することは、憲法第三一条、第二九条に違反するか 第三者所有物の没収の違憲を理由として上告することができるか

 

【 p224 】

八日言渡の大法廷判決(刑集一一巻一二号三一三二頁)がこれである。

最初の昭和三二年一一月二八日言渡の判決は、善意の第三者の所有物を没収することは、憲法二九条に違反するとの上告論旨を、原審で主張判断を経ない事項であるから不適法であるとして排斥しつつ、別に職権調査により、旧関税法八三条一項による第三者所有物の没収は、その所有者が悪意の場合に限るものと解すべきで、同条項は憲法二九条に違反しない旨判示した上、同事件は所有者の善悪意の点が不明であるとして破棄差戻した(注一、二)。

 

(注一)青柳前調査官の解説(最高裁判所判例解説刑事篇昭和三二年度六〇九頁)参照。

(注二)斎藤前裁判官は、この判決の反対意見中において、いわゆる占有没収説を主張され、若し多数意見の如く没収が第三者の所有権を剝奪するものとすれば、その没収につき所有者を訴追した上、被訴追者をして意見、弁解、防禦等の機会を与えることなしに、その所有者に対し没収を科するがごときは、裁判の本質に反するばかりでなく、憲法三一条に違反する旨述べておられる。

 

三、昭和三五年一〇月一九日の前記二つの大法廷判決は、弁護人の上告論旨が、第三者たる所有者に対する手続規定が欠けている点を指摘し、憲法違反を主張したのに対し、「訴訟において、他人の権利を容喙干渉し、これが救済を求める如きは、本来許されない筋合のものと解するを相当とするが故に、本件没収の如き事項についても、他人の所有権を対象として基本的人権の侵害がありとし、憲法上無効である旨論議抗争することは許されない」として、上告論旨の内容に立ち入ることなく、上告を棄却したのであった(注)。

 

(注)これらの判決については、左記解説等参照。

 竜岡調査官の解説(最高裁判所判例解説刑事篇昭和三五年度三七九頁およびジュリスト二一五号六八頁)

 谷口・第三者所有物の没収(判例評論三四号四頁)

 慶応大・刑法研究会・第三者の物の没収(綜合法学三一号四七頁)

 宮崎・無差別没収における第三者の救済について(民事訴訟雑誌八号〈一九六二年〉七四頁)

 芦部・憲法訴訟における当事者適格(ジュリスト二六一号四九頁、二六二号三六頁、二六三号七八頁)

 

四、右判決には、七名の裁判官が反対意見を述べられているのみならず、多数意見は、他人の権利の侵害があるとして違憲の主張をすることは許されないというのみで、職権調査については、全く触れるところがなかったので、若し職権調査をするとすれば、如何な

 

【 p225 】

る結論が出るかは、必ずしも明らかでなかった(同判決における垂水裁判官の補足意見参照)。その後最高裁判官の交替があり、新たな構成による大法廷の審議の結果、今回の違憲判決が言い渡されるに至ったのである。

 

五、本件第一審判決認定の事実は、被告人らは共謀の上機帆船大栄丸に貨物を積み込み韓国に密輸出しようとしたが、未遂に終ったというのであって、同判決は右機帆船および貨物の没収の言渡をし、原判決もこれを是認した。機帆船は被告人の所有であるが、犯罪貨物は、被告人らが他人から輸送を委託されたものである。但しその所有者は不明である。

弁護人らの上告論旨は、貨物の所有者に財産権擁護の機会を与えることなく、これを没収することは、憲法二九条に違反すると主張するものである。

 

六、本判決は、上告論旨を正面から取り上げ、先ず没収の効果につき、「関税法一一八条一項の規定による没収は、同項所定の犯罪に関係ある船舶、貨物等で同項但書に該当しないものにつき、被告人の所有に属すると否とを問わず、その所有権を剥奪して国庫に帰属しめる処分であって、被告人以外の第三者が所有者である場合においても、被告人に対する附加刑としての没収の言渡により、当該第三者の所有権剥奪の効力を生ずる極旨であると解するのが相当である。」と説明し、続いて、「しかし、第三者の所有物を没収する場合において、その没収に関して当該所有者に対し、何ら告知、弁解、防禦の機会を与えることなく、その所有権を奪うことは、著しく不合理であって、憲法の容認しないところであるといわなければならない。

 

けだし、憲法二九条一項は、財産権は、これを侵してはならないと規定し、また同三一条は、何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられないと規定しているが、前記第三者の所有物の没収は、被告人に対する附加刑として言い渡され、その刑事処分の効果が第三者に及ぶものであるから、所有物を没収せられる第三者についても、告知、弁解、防禦の機会を与えることが必要であって、これなくして第三者の所有物を没収することは、適正な法律手続によらないで、財産権を侵害する制裁を科するに外ならないからである。そして、このことは、右第三者に、事後においていかなる権利救済の方法が認められるかということとは、別個の問題である。然るに、関税法一一八条一項は、同項所定の犯罪に関係ある船舶貨物等が被告人以外の第三者の所有に属する場合においてもこれを没収する旨規定しながら、その所有者たる第三者に対し、告知、弁解、防禦の機会を与えるべきことを定めておらず、また刑訴法その他の法令においても、何らかかる手続に関する規定を設けていないのである。従って、前記関税法一一八条一項によって第三者の所有物を没収する

 

53

関税法第一一八条第一項により第三者の所有物を没収することは、憲法第三一条、第二九条に違反するか、第三者所有物の没収の違憲を理由として上告することができるか

 

【 p226 】

ることは、憲法三一条、二九条に違反するものと断ぜざるをえない。」とし、更に、これを上告理由となしうるかという点につき、「そして、かかる没収の言渡を受けた被告人は、たとえ第三者の所有物に関する場合であっても、被告人に対する附加刑である以上、没収の裁判の違憲を理由として上告をなしうることは、当然である。のみならず、被告人としても、没収に係る物の占有権を剥奪され、またはこれが使用収益をなしえない状態におかれ、更には所有権を剥奪された第三者から賠償請求権等を行使される危険に曝される等、利害関係を有することが明らかであるから、上告によりこれが救済を求めることができるものと解すべきである。」として、これと矛盾する前記昭和二八年(あ)第三〇二六号、同二九年(あ)第三六五五号、各同三五年一〇月一九日言渡の大法廷判例を変更することを明らかにし、原判決および第一審判決を破棄し自判した。

すなわち本判決は、(イ)第三者没収は、被告人に対する言渡により第三者の所有権剥奪の効果を生ずるものであること、(ロ)所有者たる第三者に告知、弁解、防禦の機会を与えることなく、その所有物を没収することは、憲法三一条、二九条に違反すること、(ハ)没収の言渡を受けた被告人は、第三者没収の違憲を理由として上告することができることおよび(ニ)所有権を剥奪された第三者の救済は、別個の問題であることを明らかにしたのである。

 

七、本判決には、入江、垂水、奥野各裁判官の補足意見、藤田、下飯坂、高木、石坂、山田各裁判官の反対意見及び少数意見が附されている。

入江裁判官は、昭和三五年一〇月一九日の判決における反対意見において、第三者に告知、聴聞の機会を与え、弁解、防禦をなすことを得せしめることが、第三者没収についての憲法三一条の最小限度の要請であるが、その手続規定のない現状においては、右第三者を証人として法廷に召喚し、証人調の段階においてこれに第三者没収の趣旨を告知し、意見を開陳し、弁解、防禦の機会を与えることによって右の要請は満されるとの見解を述べられたのであるが、本判決の補足意見において右見解を改め、多数意見に賛同することを明らかにされた。特に説明はないが、前回入江裁判官の反対意見に同調された河村(又)、池田両裁判官も今回の多数意見に加わっておられるので、同様に解を改められたものと考えられる。   

また垂水裁判官は、前回の判決の多数意見から、今回の多数意見に加わられたのであるが、前回の判決の補足意見においても、第三者没収が憲法三一条に違反することを認め、刑訴四一一条に従い職権を行使するならば原判決の憲法違反を看過することなく、これを

 

【 p227 】

破棄すべきであろうとせられたのであった。ただ右補足意見においては、本件上告理由は第三者の法益侵害を主張するもので何ら上告人自身が刑訴手続上の法益を侵害されたとの主張ではないから、職権破棄の問題を別にすれば、本件上告は採り上げられないという本判決は当然であると述べられたのであった。

今回の判決の補足意見は、右上告適否の点に関する部分のみを変更されたもので、「一般に……他人の利益が侵害されることだけを主張し、ひいて被告人の自己利益が害される虞ある具体的関係の主張を含まないものは、自己に有利な判決……を求めるものではないから適法な上訴理由とならない……」との原則を維持しつつ、「本件上告理由は、被告人に対する附加刑として第三者所有物没収が違憲であるというのであるが、その理由として、この没収判決の破破棄により被告人は附加刑を免れる具体的、必然的関係にあるという主張が含まれていると解されないことはない。」として、本件上告を適法と認め、所有者に告知、弁解、防御の機会を与えずに第三者所有物を没収することは憲法三一条に違反すると説明されるに至った。

八、これに対し強硬に反説を主張されるのは、下飯坂裁判官であって、同裁判官は、違憲審査の対象となる法令等により当事者が 現実の具体的不利益を蒙っている場合と、いない場合とに分け、前者の場合に、その法令等を他人の憲法上の権利を援用して攻撃する ことは、法の禁ずるところではなく、かくして提起された憲法上の争点について裁判を加えても、司法権の範囲を逸脱するものではな いが、後者の場合に、その違憲性についての判断を加えることは、将来を予想して疑義論争に抽象的判断を下すことに外ならず、司法 権行使の範囲を逸脱するものである。被告人が、所有権を剥奪された第三者から賠償請求権を行使されるかどうかは未定の問題であり、この危険は、未確定、抽象的なものに止まる。被告人は犯人であり、告知、弁解、防禦の機会を与えられているのであるから、被 告人が自らの憲法上の権利を現に侵害されているものではない。……されば、被告人は本件没収の裁判につきこれを違憲と抗争する現実の具体的不利益関係を欠如しているのであるから、没収を違憲と主張する主たる理由は不適法である。……所有物を没収された第三者は、憲法三一条違反を主張する限り、刑訴四九七条一項のいわゆる権利を有する者に該当し、また没収物の返還を求める行政訴訟を国を相手に提起できる。没収物の所有者が自らの憲法上の権利への侵害を甘受するかどうか未定の段階である刑事手続中で先きを廻りして違憲判断をする必要はない筋合であるとされる。

 

53

関税法第一一八条第一項により第三者の所有物を没収することは、憲法第三一条、第二九条に違反するか、第三者所有物の没収の違憲を理由として上告することができるか

 

【 p228 】

えない。従って被告人に対して言い渡された原判決の効果が、被告人以外の第三者に及び、第三者の所有権を侵害するものであるとして没収の違憲を主張する上告は、その前提において誤っている。没収の言渡の効果は、被告人がそのものにつき所有権を有する場合はその所有権を、単に占有権、使用権のみを有する場合は、その占有権、使用権を剥奪するものと解するというのである。

 

一〇、藤田裁判官の少数意見は、昭和三五年一〇月一九日の前記判決の多数意見と、高木裁判官の少数意見は、右判決における同裁判官の補足意見と、また石坂裁判官の反対意見は、下飯坂裁判官の本件反対意見とそれぞれ同趣旨である。

 

一一、最後に奥野裁判官の補足意見は、これら反対または少数意見に対する反論ともいうべきもので、(イ)占有没収説に対し第三者没収が被告人の占有権のみの剥奪であって所有権の剥奪の効果はないと解すべき法律上何らの根拠もない。けだし、若し然りとすれば、第三者没収について、法が何故に、所有者の善意、悪意を問題として、所有者の悪意(知情)の場合に限り没収することができるもの、としたかを理解することができないからである。(ロ)民訴による救済論に対し、国が一方において没収の対象たる物件が被告人の所有であると第三者の所有であるとを問わず、等しく没収により国庫に帰属せしめるという制度を採りながら、他方で第三者たる所有者に、没収の判決確定後でも、民事訴訟により国家に対し没収に係る物件の返還又は不当利得の返還の請求を許容するというが如きことは国家意思の矛盾であって、到底是認することを得ない。(ハ)自己の所有物件を没収された第三者は、刑訴四九七条により交付を請求しうるとの説に対し、同条は、犯人以外の第三者の所有に属しないものとして没収の言渡をした判決の確定後、他に権利者があることが判明した場合に関する規定であって、裁判所が第三者の所有物であることを認めた上、なおこれを没収すべきものであると判断して没収の言渡をした場合に適用すべきものではないと説明されている。

 

一二、本判決につき特に注意すべきことは、本判決が関税法一一八条一項の没収の実体規定そのものを違憲とするものではなく、所有者に告知、弁解、防禦の機会を与えることなく第三者の所有物を没収する判決が憲法に違反するという点である。このことは、垂水裁判官の補足意見中に、「無差別没収を排し、無差別不没収の外なしとする多数意見は、現行刑事訴訟法等のどの条項が憲法三一条に違反するとも判示していない。これは刑訴法に適正手続規定がないのに第三者所有物を没収する判決をした場合には判決が憲法三一条、二九条一項に違反するということを示すものとしか解する外あるまい。」と説明されているところであるし、本判決が、関税法一一八条一項によって第三者の所有物を没収することは、憲法三一条、二九条に違反する」「本件につきこれを見るに、……前述の理 

 

【 p229 】

由により本件貨物の没収の言渡は違憲であって、……」等の表現を用いているところからも窺われるのである。

この点を最初に主張されたのは、昭和三五年一〇月一九日の言渡における入江裁判官の反対意見(小谷、島、河村(又)、池田各裁判官同調)であって、告知、聴問の機会を与える規定を欠いたからといって……「それが直ちに、第三者没収の根拠規定である旧関税法の実体規定またはこれに基づいてなされた第三者没収を言渡した裁判を違憲ならしめる必然的関係はないと思う。ただ問題はその裁判のやり方如何であって、もしその裁判が第三者没収を言渡すに当り、審理の手続面において、上述したような憲法三一条の要請に適合する何らかの事前の告知、聴問の機会を第三者に与えておらず、……とすれば、その点において、右裁判は憲法三一条に違反するものたるを免れないであろう。」と述べられる。

これに対し河村(大)、奥野両裁判官の同判決における反対意見は、旧関税法八三条一項の規定自体が違憲であると断ぜられたのであるが、前記の如く入江裁判官らが証人調の方法により防禦の機会を与えることをもって足るとの見解を改められると共に右両裁判官も第三者没収の実体規定の違憲無効説を改め、没収の裁判を違憲とする見解に加わられるに至ったものと考えられる。

 

一三、しかし裁判の違憲といっても、その根源は、憲法の要請にそうような手続規定が整備せられていない点にある。第三者没収の規定は、関税法、酒税法その他の特別法中に存するのみならず、刑法一九条二項中にもその例が見られるのである。これらの規定が適憲に運用できるようにするため、早急に適切な立法措置が講ぜられるべきであろう。(本件につき谷口判事の本判決紹介、ジュリスト二六六号四八頁参照。)

(足立調査官代理 脇田忠) 

 

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◎相談 以下の調査官報告書p221からp229までに段落番号を付与して下さい。 段落番号は 数字φ で表示して下さい。 φだけは太字にして下さい。 解説は必要ありません。 通しで全文完成させてください。 確認事項がありましたら、最初に質問して下さい。   【 p221 】 52 一、旧関税法(昭和二九年法律第六一号による改正前の関税法をいう)  第八三条第一項により第三者の所有物を没収することは、憲法第二九条、第三一条に違反するか。    二、第三者所有物の没収の違憲を理由として上告することができるか。   (昭和三〇年(あ)第九九五号、同三七年一一月二八日大法廷判決、破棄自判  第一審 福岡地裁小倉支部、第二審 福岡高裁  関税法違反被告事件 刑集第一六巻一一号一五七七頁)   52 旧関税法(昭和二九年法律第六一号による改正前の関税法をいう。)第八三条第一項により第三者の所有物を没収することは、 憲法31条、第29条に違反するか 第三者所有物の没収の違憲を理由として上告することができるか。   【 p222 】 【判決要旨】 一、旧関税法(昭和二九年法律第六一号による改正前の関税法をいう。)第八三条第一項の規定により第三者の所有物を没収することは、憲法第三一条、第二九条に違反する。 二、前項の場合、没収の言渡を受けた被告人は、たとえ第三者の所有物に関する場合であっても、これを違憲であるとして上告をすることができる。 (補足意見および少数反対意見がある。)   【参照条文】 旧関税法第八三条、憲法第二九条、第三一条、刑訴第四〇五条第一項   【解 説】 一、事実関係 被告人は他の者と共謀の上、衣料品等を機帆船厚陽丸に積み込み、韓国に密輸出しようとしたが、海上保安官に発見されて未遂に終った。 第一審判決は、右機帆船および貨物を没収し、第二審判決もこれを是認したが、これらはいずれも被告人以外の第三者の所有であった。 弁護人は、善意の第三者の所有物を没収することは、憲法二九条に違反するし、また所有者の不知の間にその意見、弁解を聴くことなく、善意の第三者の所有物を没収しうるとする旧関税法の規定は、憲法三一条、三二条に違反すると主張した。 二、本判決は、本件と同時に言い渡された昭和三〇年(あ)第二九六一号事件の判決と全く同趣旨である。ただ、本件が旧関税法違反事件であるため、現行関税法に関する右判決とは別に、これを判例とするのが適当であるという理由で、判例集に登載されることとなったものである。 (足立顯吉代理 脇田 忠)   【 p223 】 53 一、関税法第一一八条第一項により第三者の所有物を没収することは、憲法第三一条、第二九条に違反するか 二、第三者所有物の没収の違憲を理由として上告することができるか   (昭和三〇年(あ)第二九六一号、昭和三七年一一月二八日大法廷判決、破棄自判  第一審 福岡地裁小倉支部、第二審 福岡高裁  関税法違反被告事件 刑集第一六巻一一号一五九三頁)   【判決要旨】 一、関税法第一一八条第一項の規定により第三者の所有物を没収することは、憲法第三一条、第二九条に違反する。 二、前項の場合、没収の言渡を受けた被告人は、たとえ第三者の所有物に関する場合であっても、これを違憲であるとして上告をすることができる。 (補足意見および少数反対意見がある。)   【参照条文】 関税法第一一八条、憲法第二九条、第三一条、刑訴第四〇五条第一項   【解 説】 一、本件は、関税法の規定に基づく第三者所有物の没収を憲法三一条、二九条に違反するものと宣言した重要な判例であって、第三者没収につき最高裁がさきに昭和三五年一〇月一九日言い渡した二つの大法廷判例(昭和二八年(あ)第三〇二六号および同二九年(あ)第三六五五号、刑集一四巻一二号一五七四頁、同一六一一頁)は、これにより変更されたのである。本件と同時に、旧関税法違反事件についても、別稿のとおり本件と全く同旨の判決(昭和三〇年(あ)第九九五号)が言い渡されており、更に数件の同旨の判決がこれに引き続いて言い渡された。 二、いわゆる第三者没収については、(イ)没収は第三者の所有権を剝奪するものかどうか、(ロ)善意の第三者の所有物を没収することができるかどうか(旧関税法の場合、(ハ)第三者たる所有者に告知、弁解、防禦の機会を与えないでその所有物を没収することが憲法に違反しないか、(ニ)没収の言渡を受けた被告人は、第三者没収の違憲を理由として上告することができるか、(ホ)没収された物の所有者は、後に自己の権利が侵害されたことを主張して没収物の返還を請求することができるか等の問題があり、これらの問題に関連して最高裁には従来三つの大法廷判決があった。 53 関税法第一一八条第一項により第三者の所有物を没収することは、憲法第三一条、第二九条に違反するか 第三者所有物の没収の違憲を理由として上告することができるか   【 p224 】 八日言渡の大法廷判決(刑集一一巻一二号三一三二頁)がこれである。 最初の昭和三二年一一月二八日言渡の判決は、善意の第三者の所有物を没収することは、憲法二九条に違反するとの上告論旨を、原審で主張判断を経ない事項であるから不適法であるとして排斥しつつ、別に職権調査により、旧関税法八三条一項による第三者所有物の没収は、その所有者が悪意の場合に限るものと解すべきで、同条項は憲法二九条に違反しない旨判示した上、同事件は所有者の善悪意の点が不明であるとして破棄差戻した(注一、二)。   (注一)青柳前調査官の解説(最高裁判所判例解説刑事篇昭和三二年度六〇九頁)参照。 (注二)斎藤前裁判官は、この判決の反対意見中において、いわゆる占有没収説を主張され、若し多数意見の如く没収が第三者の所有権を剝奪するものとすれば、その没収につき所有者を訴追した上、被訴追者をして意見、弁解、防禦等の機会を与えることなしに、その所有者に対し没収を科するがごときは、裁判の本質に反するばかりでなく、憲法三一条に違反する旨述べておられる。   三、昭和三五年一〇月一九日の前記二つの大法廷判決は、弁護人の上告論旨が、第三者たる所有者に対する手続規定が欠けている点を指摘し、憲法違反を主張したのに対し、「訴訟において、他人の権利を容喙干渉し、これが救済を求める如きは、本来許されない筋合のものと解するを相当とするが故に、本件没収の如き事項についても、他人の所有権を対象として基本的人権の侵害がありとし、憲法上無効である旨論議抗争することは許されない」として、上告論旨の内容に立ち入ることなく、上告を棄却したのであった(注)。   (注)これらの判決については、左記解説等参照。  竜岡調査官の解説(最高裁判所判例解説刑事篇昭和三五年度三七九頁およびジュリスト二一五号六八頁)  谷口・第三者所有物の没収(判例評論三四号四頁)  慶応大・刑法研究会・第三者の物の没収(綜合法学三一号四七頁)  宮崎・無差別没収における第三者の救済について(民事訴訟雑誌八号〈一九六二年〉七四頁)  芦部・憲法訴訟における当事者適格(ジュリスト二六一号四九頁、二六二号三六頁、二六三号七八頁)   四、右判決には、七名の裁判官が反対意見を述べられているのみならず、多数意見は、他人の権利の侵害があるとして違憲の主張をすることは許されないというのみで、職権調査については、全く触れるところがなかったので、若し職権調査をするとすれば、如何な   【 p225 】 る結論が出るかは、必ずしも明らかでなかった(同判決における垂水裁判官の補足意見参照)。その後最高裁判官の交替があり、新たな構成による大法廷の審議の結果、今回の違憲判決が言い渡されるに至ったのである。   五、本件第一審判決認定の事実は、被告人らは共謀の上機帆船大栄丸に貨物を積み込み韓国に密輸出しようとしたが、未遂に終ったというのであって、同判決は右機帆船および貨物の没収の言渡をし、原判決もこれを是認した。機帆船は被告人の所有であるが、犯罪貨物は、被告人らが他人から輸送を委託されたものである。但しその所有者は不明である。 弁護人らの上告論旨は、貨物の所有者に財産権擁護の機会を与えることなく、これを没収することは、憲法二九条に違反すると主張するものである。   六、本判決は、上告論旨を正面から取り上げ、先ず没収の効果につき、「関税法一一八条一項の規定による没収は、同項所定の犯罪に関係ある船舶、貨物等で同項但書に該当しないものにつき、被告人の所有に属すると否とを問わず、その所有権を剥奪して国庫に帰属しめる処分であって、被告人以外の第三者が所有者である場合においても、被告人に対する附加刑としての没収の言渡により、当該第三者の所有権剥奪の効力を生ずる極旨であると解するのが相当である。」と説明し、続いて、「しかし、第三者の所有物を没収する場合において、その没収に関して当該所有者に対し、何ら告知、弁解、防禦の機会を与えることなく、その所有権を奪うことは、著しく不合理であって、憲法の容認しないところであるといわなければならない。   けだし、憲法二九条一項は、財産権は、これを侵してはならないと規定し、また同三一条は、何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられないと規定しているが、前記第三者の所有物の没収は、被告人に対する附加刑として言い渡され、その刑事処分の効果が第三者に及ぶものであるから、所有物を没収せられる第三者についても、告知、弁解、防禦の機会を与えることが必要であって、これなくして第三者の所有物を没収することは、適正な法律手続によらないで、財産権を侵害する制裁を科するに外ならないからである。そして、このことは、右第三者に、事後においていかなる権利救済の方法が認められるかということとは、別個の問題である。然るに、関税法一一八条一項は、同項所定の犯罪に関係ある船舶貨物等が被告人以外の第三者の所有に属する場合においてもこれを没収する旨規定しながら、その所有者たる第三者に対し、告知、弁解、防禦の機会を与えるべきことを定めておらず、また刑訴法その他の法令においても、何らかかる手続に関する規定を設けていないのである。従って、前記関税法一一八条一項によって第三者の所有物を没収する   53 関税法第一一八条第一項により第三者の所有物を没収することは、憲法第三一条、第二九条に違反するか、第三者所有物の没収の違憲を理由として上告することができるか   【 p226 】 ることは、憲法三一条、二九条に違反するものと断ぜざるをえない。」とし、更に、これを上告理由となしうるかという点につき、「そして、かかる没収の言渡を受けた被告人は、たとえ第三者の所有物に関する場合であっても、被告人に対する附加刑である以上、没収の裁判の違憲を理由として上告をなしうることは、当然である。のみならず、被告人としても、没収に係る物の占有権を剥奪され、またはこれが使用収益をなしえない状態におかれ、更には所有権を剥奪された第三者から賠償請求権等を行使される危険に曝される等、利害関係を有することが明らかであるから、上告によりこれが救済を求めることができるものと解すべきである。」として、これと矛盾する前記昭和二八年(あ)第三〇二六号、同二九年(あ)第三六五五号、各同三五年一〇月一九日言渡の大法廷判例を変更することを明らかにし、原判決および第一審判決を破棄し自判した。 すなわち本判決は、(イ)第三者没収は、被告人に対する言渡により第三者の所有権剥奪の効果を生ずるものであること、(ロ)所有者たる第三者に告知、弁解、防禦の機会を与えることなく、その所有物を没収することは、憲法三一条、二九条に違反すること、(ハ)没収の言渡を受けた被告人は、第三者没収の違憲を理由として上告することができることおよび(ニ)所有権を剥奪された第三者の救済は、別個の問題であることを明らかにしたのである。   七、本判決には、入江、垂水、奥野各裁判官の補足意見、藤田、下飯坂、高木、石坂、山田各裁判官の反対意見及び少数意見が附されている。 入江裁判官は、昭和三五年一〇月一九日の判決における反対意見において、第三者に告知、聴聞の機会を与え、弁解、防禦をなすことを得せしめることが、第三者没収についての憲法三一条の最小限度の要請であるが、その手続規定のない現状においては、右第三者を証人として法廷に召喚し、証人調の段階においてこれに第三者没収の趣旨を告知し、意見を開陳し、弁解、防禦の機会を与えることによって右の要請は満されるとの見解を述べられたのであるが、本判決の補足意見において右見解を改め、多数意見に賛同することを明らかにされた。特に説明はないが、前回入江裁判官の反対意見に同調された河村(又)、池田両裁判官も今回の多数意見に加わっておられるので、同様に解を改められたものと考えられる。    また垂水裁判官は、前回の判決の多数意見から、今回の多数意見に加わられたのであるが、前回の判決の補足意見においても、第三者没収が憲法三一条に違反することを認め、刑訴四一一条に従い職権を行使するならば原判決の憲法違反を看過することなく、これを   【 p227 】 破棄すべきであろうとせられたのであった。ただ右補足意見においては、本件上告理由は第三者の法益侵害を主張するもので何ら上告人自身が刑訴手続上の法益を侵害されたとの主張ではないから、職権破棄の問題を別にすれば、本件上告は採り上げられないという本判決は当然であると述べられたのであった。 今回の判決の補足意見は、右上告適否の点に関する部分のみを変更されたもので、「一般に……他人の利益が侵害されることだけを主張し、ひいて被告人の自己利益が害される虞ある具体的関係の主張を含まないものは、自己に有利な判決……を求めるものではないから適法な上訴理由とならない……」との原則を維持しつつ、「本件上告理由は、被告人に対する附加刑として第三者所有物没収が違憲であるというのであるが、その理由として、この没収判決の破破棄により被告人は附加刑を免れる具体的、必然的関係にあるという主張が含まれていると解されないことはない。」として、本件上告を適法と認め、所有者に告知、弁解、防御の機会を与えずに第三者所有物を没収することは憲法三一条に違反すると説明されるに至った。 八、これに対し強硬に反説を主張されるのは、下飯坂裁判官であって、同裁判官は、違憲審査の対象となる法令等により当事者が 現実の具体的不利益を蒙っている場合と、いない場合とに分け、前者の場合に、その法令等を他人の憲法上の権利を援用して攻撃する ことは、法の禁ずるところではなく、かくして提起された憲法上の争点について裁判を加えても、司法権の範囲を逸脱するものではな いが、後者の場合に、その違憲性についての判断を加えることは、将来を予想して疑義論争に抽象的判断を下すことに外ならず、司法 権行使の範囲を逸脱するものである。被告人が、所有権を剥奪された第三者から賠償請求権を行使されるかどうかは未定の問題であり、この危険は、未確定、抽象的なものに止まる。被告人は犯人であり、告知、弁解、防禦の機会を与えられているのであるから、被 告人が自らの憲法上の権利を現に侵害されているものではない。……されば、被告人は本件没収の裁判につきこれを違憲と抗争する現実の具体的不利益関係を欠如しているのであるから、没収を違憲と主張する主たる理由は不適法である。……所有物を没収された第三者は、憲法三一条違反を主張する限り、刑訴四九七条一項のいわゆる権利を有する者に該当し、また没収物の返還を求める行政訴訟を国を相手に提起できる。没収物の所有者が自らの憲法上の権利への侵害を甘受するかどうか未定の段階である刑事手続中で先きを廻りして違憲判断をする必要はない筋合であるとされる。   53 関税法第一一八条第一項により第三者の所有物を没収することは、憲法第三一条、第二九条に違反するか、第三者所有物の没収の違憲を理由として上告することができるか   【 p228 】 えない。従って被告人に対して言い渡された原判決の効果が、被告人以外の第三者に及び、第三者の所有権を侵害するものであるとして没収の違憲を主張する上告は、その前提において誤っている。没収の言渡の効果は、被告人がそのものにつき所有権を有する場合はその所有権を、単に占有権、使用権のみを有する場合は、その占有権、使用権を剥奪するものと解するというのである。   一〇、藤田裁判官の少数意見は、昭和三五年一〇月一九日の前記判決の多数意見と、高木裁判官の少数意見は、右判決における同裁判官の補足意見と、また石坂裁判官の反対意見は、下飯坂裁判官の本件反対意見とそれぞれ同趣旨である。   一一、最後に奥野裁判官の補足意見は、これら反対または少数意見に対する反論ともいうべきもので、(イ)占有没収説に対し第三者没収が被告人の占有権のみの剥奪であって所有権の剥奪の効果はないと解すべき法律上何らの根拠もない。けだし、若し然りとすれば、第三者没収について、法が何故に、所有者の善意、悪意を問題として、所有者の悪意(知情)の場合に限り没収することができるもの、としたかを理解することができないからである。(ロ)民訴による救済論に対し、国が一方において没収の対象たる物件が被告人の所有であると第三者の所有であるとを問わず、等しく没収により国庫に帰属せしめるという制度を採りながら、他方で第三者たる所有者に、没収の判決確定後でも、民事訴訟により国家に対し没収に係る物件の返還又は不当利得の返還の請求を許容するというが如きことは国家意思の矛盾であって、到底是認することを得ない。(ハ)自己の所有物件を没収された第三者は、刑訴四九七条により交付を請求しうるとの説に対し、同条は、犯人以外の第三者の所有に属しないものとして没収の言渡をした判決の確定後、他に権利者があることが判明した場合に関する規定であって、裁判所が第三者の所有物であることを認めた上、なおこれを没収すべきものであると判断して没収の言渡をした場合に適用すべきものではないと説明されている。   一二、本判決につき特に注意すべきことは、本判決が関税法一一八条一項の没収の実体規定そのものを違憲とするものではなく、所有者に告知、弁解、防禦の機会を与えることなく第三者の所有物を没収する判決が憲法に違反するという点である。このことは、垂水裁判官の補足意見中に、「無差別没収を排し、無差別不没収の外なしとする多数意見は、現行刑事訴訟法等のどの条項が憲法三一条に違反するとも判示していない。これは刑訴法に適正手続規定がないのに第三者所有物を没収する判決をした場合には判決が憲法三一条、二九条一項に違反するということを示すものとしか解する外あるまい。」と説明されているところであるし、本判決が、関税法一一八条一項によって第三者の所有物を没収することは、憲法三一条、二九条に違反する」「本件につきこれを見るに、……前述の理    【 p229 】 由により本件貨物の没収の言渡は違憲であって、……」等の表現を用いているところからも窺われるのである。 この点を最初に主張されたのは、昭和三五年一〇月一九日の言渡における入江裁判官の反対意見(小谷、島、河村(又)、池田各裁判官同調)であって、告知、聴問の機会を与える規定を欠いたからといって……「それが直ちに、第三者没収の根拠規定である旧関税法の実体規定またはこれに基づいてなされた第三者没収を言渡した裁判を違憲ならしめる必然的関係はないと思う。ただ問題はその裁判のやり方如何であって、もしその裁判が第三者没収を言渡すに当り、審理の手続面において、上述したような憲法三一条の要請に適合する何らかの事前の告知、聴問の機会を第三者に与えておらず、……とすれば、その点において、右裁判は憲法三一条に違反するものたるを免れないであろう。」と述べられる。 これに対し河村(大)、奥野両裁判官の同判決における反対意見は、旧関税法八三条一項の規定自体が違憲であると断ぜられたのであるが、前記の如く入江裁判官らが証人調の方法により防禦の機会を与えることをもって足るとの見解を改められると共に右両裁判官も第三者没収の実体規定の違憲無効説を改め、没収の裁判を違憲とする見解に加わられるに至ったものと考えられる。   一三、しかし裁判の違憲といっても、その根源は、憲法の要請にそうような手続規定が整備せられていない点にある。第三者没収の規定は、関税法、酒税法その他の特別法中に存するのみならず、刑法一九条二項中にもその例が見られるのである。これらの規定が適憲に運用できるようにするため、早急に適切な立法措置が講ぜられるべきであろう。(本件につき谷口判事の本判決紹介、ジュリスト二六六号四八頁参照。) (足立調査官代理 脇田忠)     

Copilot said:

確認事項があります。

ご提示いただいた本文は p221~p229のうち p226末尾が途中で切れており、また p227冒頭が前頁から続く文章になっています。

具体的には、

「これを」

で p226 が終わり、

「破棄すべきであろうとせられたのであった。」

から p227 が始まっています。

したがって、

「これを」
↓
(欠落部分)
↓
「破棄すべきであろうとせられたのであった。」

の部分が欠落しています。

また、p227~p228付近でも一部OCR欠落・混入(「破破棄」等)が見受けられます。

この状態では「通しで全文完成版」にすると、原文に存在しない補完を行うことになってしまいます。

確認したい事項は1点です。

欠落部分があっても、今回貼付された本文だけを対象として、原文補完を行わずに段落番号(φ1、φ2……)を付与した完成版を作成してよろしいですか。

(はい/いいえ でご回答ください。)

 

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いいえ、確認してから、再度依頼します。終わります

 

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承知しました。

本文に欠落箇所がないことを確認された後、あらためてご依頼ください。

その際は、今回と同様に p221~p229の全文 を貼り付けていただければ、

  • 段落番号は φ1、φ2、φ3… の通し番号
  • φ のみ太字
  • 本文は原文どおり
  • 解説・要約なし
  • p221~p229を通しで連番
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相談261017の2補正版 調査官報告書欠落部分の追記 調書決定 憲法31条

相談261017の2補正版 調査官報告書欠落部分の追記 調書決定 憲法31条

 

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https://mariusu.muragon.com/entry/4778.html

 

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【 p222 】

【判決要旨】

一、旧関税法(昭和二九年法律第六一号による改正前の関税法をいう。)第八三条第一項の規定により第三者の所有物を没収することは、憲法第三一条、第二九条に違反する。

二、前項の場合、没収の言渡を受けた被告人は、たとえ第三者の所有物に関する場合であっても、これを違憲であるとして上告をすることができる。

(補足意見および少数反対意見がある。)

 

【参照条文】

旧関税法第八三条、憲法第二九条、第三一条、刑訴第四〇五条第一項

 

【解 説】

一、事実関係

被告人は他の者と共謀の上、衣料品等を機帆船厚陽丸に積み込み、韓国に密輸出しようとしたが、海上保安官に発見されて未遂に終った。

第一審判決は、右機帆船および貨物を没収し、第二審判決もこれを是認したが、これらはいずれも被告人以外の第三者の所有であった。

弁護人は、善意の第三者の所有物を没収することは、憲法二九条に違反するし、また所有者の不知の間にその意見、弁解を聴くことなく、善意の第三者の所有物を没収しうるとする旧関税法の規定は、憲法三一条、三二条に違反すると主張した。

二、本判決は、本件と同時に言い渡された昭和三〇年(あ)第二九六一号事件の判決と全く同趣旨である。ただ、本件が旧関税法違反事件であるため、現行関税法に関する右判決とは別に、これを判例とするのが適当であるという理由で、判例集に登載されることとなったものである。

(足立顯吉代理 脇田 忠)

 

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【 p223 】

53

一、関税法第一一八条第一項により第三者の所有物を没収することは、憲法第三一条、第二九条に違反するか

二、第三者所有物の没収の違憲を理由として上告することができるか

 

(昭和三〇年(あ)第二九六一号、昭和三七年一一月二八日大法廷判決、破棄自判

 第一審 福岡地裁小倉支部、第二審 福岡高裁

 関税法違反被告事件 刑集第一六巻一一号一五九三頁)

 

【判決要旨】

一、関税法第一一八条第一項の規定により第三者の所有物を没収することは、憲法第三一条、第二九条に違反する。

二、前項の場合、没収の言渡を受けた被告人は、たとえ第三者の所有物に関する場合であっても、これを違憲であるとして上告をすることができる。

(補足意見および少数反対意見がある。)

 

【参照条文】

関税法第一一八条、憲法第二九条、第三一条、刑訴第四〇五条第一項

 

【解 説】

一、本件は、関税法の規定に基づく第三者所有物の没収を憲法三一条、二九条に違反するものと宣言した重要な判例であって、第三者没収につき最高裁がさきに昭和三五年一〇月一九日言い渡した二つの大法廷判例(昭和二八年(あ)第三〇二六号および同二九年(あ)第三六五五号、刑集一四巻一二号一五七四頁、同一六一一頁)は、これにより変更されたのである。本件と同時に、旧関税法違反事件についても、別稿のとおり本件と全く同旨の判決(昭和三〇年(あ)第九九五号)が言い渡されており、更に数件の同旨の判決がこれに引き続いて言い渡された。

二、いわゆる第三者没収については、(イ)没収は第三者の所有権を剝奪するものかどうか、(ロ)善意の第三者の所有物を没収することができるかどうか(旧関税法の場合、(ハ)第三者たる所有者に告知、弁解、防禦の機会を与えないでその所有物を没収することが憲法に違反しないか、(ニ)没収の言渡を受けた被告人は、第三者没収の違憲を理由として上告することができるか、(ホ)没収された物の所有者は、後に自己の権利が侵害されたことを主張して没収物の返還を請求することができるか等の問題があり、これらの問題に関連して最高裁には従来三つの大法廷判決があった。

53

関税法第一一八条第一項により第三者の所有物を没収することは、憲法第三一条、第二九条に違反するか 第三者所有物の没収の違憲を理由として上告することができるか

 

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【 p224 】

八日言渡の大法廷判決(刑集一一巻一二号三一三二頁)がこれである。

最初の昭和三二年一一月二八日言渡の判決は、善意の第三者の所有物を没収することは、憲法二九条に違反するとの上告論旨を、原審で主張判断を経ない事項であるから不適法であるとして排斥しつつ、別に職権調査により、旧関税法八三条一項による第三者所有物の没収は、その所有者が悪意の場合に限るものと解すべきで、同条項は憲法二九条に違反しない旨判示した上、同事件は所有者の善悪意の点が不明であるとして破棄差戻した(注一、二)。

 

(注一)青柳前調査官の解説(最高裁判所判例解説刑事篇昭和三二年度六〇九頁)参照。

(注二)斎藤前裁判官は、この判決の反対意見中において、いわゆる占有没収説を主張され、若し多数意見の如く没収が第三者の所有権を剝奪するものとすれば、その没収につき所有者を訴追した上、被訴追者をして意見、弁解、防禦等の機会を与えることなしに、その所有者に対し没収を科するがごときは、裁判の本質に反するばかりでなく、憲法三一条に違反する旨述べておられる。

 

三、昭和三五年一〇月一九日の前記二つの大法廷判決は、弁護人の上告論旨が、第三者たる所有者に対する手続規定が欠けている点を指摘し、憲法違反を主張したのに対し、「訴訟において、他人の権利を容喙干渉し、これが救済を求める如きは、本来許されない筋合のものと解するを相当とするが故に、本件没収の如き事項についても、他人の所有権を対象として基本的人権の侵害がありとし、憲法上無効である旨論議抗争することは許されない」として、上告論旨の内容に立ち入ることなく、上告を棄却したのであった(注)。

 

(注)これらの判決については、左記解説等参照。

 竜岡調査官の解説(最高裁判所判例解説刑事篇昭和三五年度三七九頁およびジュリスト二一五号六八頁)

 谷口・第三者所有物の没収(判例評論三四号四頁)

 慶応大・刑法研究会・第三者の物の没収(綜合法学三一号四七頁)

 宮崎・無差別没収における第三者の救済について(民事訴訟雑誌八号〈一九六二年〉七四頁)

 芦部・憲法訴訟における当事者適格(ジュリスト二六一号四九頁、二六二号三六頁、二六三号七八頁)

 

四、右判決には、七名の裁判官が反対意見を述べられているのみならず、多数意見は、他人の権利の侵害があるとして違憲の主張をすることは許されないというのみで、職権調査については、全く触れるところがなかったので、若し職権調査をするとすれば、如何な

 

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【 p225 】

る結論が出るかは、必ずしも明らかでなかった(同判決における垂水裁判官の補足意見参照)。その後最高裁判官の交替があり、新たな構成による大法廷の審議の結果、今回の違憲判決が言い渡されるに至ったのである。

 

五、本件第一審判決認定の事実は、被告人らは共謀の上機帆船大栄丸に貨物を積み込み韓国に密輸出しようとしたが、未遂に終ったというのであって、同判決は右機帆船および貨物の没収の言渡をし、原判決もこれを是認した。機帆船は被告人の所有であるが、犯罪貨物は、被告人らが他人から輸送を委託されたものである。但しその所有者は不明である。

弁護人らの上告論旨は、貨物の所有者に財産権擁護の機会を与えることなく、これを没収することは、憲法二九条に違反すると主張するものである。

 

六、本判決は、上告論旨を正面から取り上げ、先ず没収の効果につき、「関税法一一八条一項の規定による没収は、同項所定の犯罪に関係ある船舶、貨物等で同項但書に該当しないものにつき、被告人の所有に属すると否とを問わず、その所有権を剥奪して国庫に帰属しめる処分であって、被告人以外の第三者が所有者である場合においても、被告人に対する附加刑としての没収の言渡により、当該第三者の所有権剥奪の効力を生ずる極旨であると解するのが相当である。」と説明し、続いて、「しかし、第三者の所有物を没収する場合において、その没収に関して当該所有者に対し、何ら告知、弁解、防禦の機会を与えることなく、その所有権を奪うことは、著しく不合理であって、憲法の容認しないところであるといわなければならない。

 

けだし、憲法二九条一項は、財産権は、これを侵してはならないと規定し、また同三一条は、何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられないと規定しているが、前記第三者の所有物の没収は、被告人に対する附加刑として言い渡され、その刑事処分の効果が第三者に及ぶものであるから、所有物を没収せられる第三者についても、告知、弁解、防禦の機会を与えることが必要であって、これなくして第三者の所有物を没収することは、適正な法律手続によらないで、財産権を侵害する制裁を科するに外ならないからである。そして、このことは、右第三者に、事後においていかなる権利救済の方法が認められるかということとは、別個の問題である。然るに、関税法一一八条一項は、同項所定の犯罪に関係ある船舶貨物等が被告人以外の第三者の所有に属する場合においてもこれを没収する旨規定しながら、その所有者たる第三者に対し、告知、弁解、防禦の機会を与えるべきことを定めておらず、また刑訴法その他の法令においても、何らかかる手続に関する規定を設けていないのである。従って、前記関税法一一八条一項によって第三者の所有物を没収する

 

53

関税法第一一八条第一項により第三者の所有物を没収することは、憲法第三一条、第二九条に違反するか、第三者所有物の没収の違憲を理由として上告することができるか

 

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【 p226 】

ることは、憲法三一条、二九条に違反するものと断ぜざるをえない。」とし、更に、これを上告理由となしうるかという点につき、「そして、かかる没収の言渡を受けた被告人は、たとえ第三者の所有物に関する場合であっても、被告人に対する附加刑である以上、没収の裁判の違憲を理由として上告をなしうることは、当然である。のみならず、被告人としても、没収に係る物の占有権を剥奪され、またはこれが使用収益をなしえない状態におかれ、更には所有権を剥奪された第三者から賠償請求権等を行使される危険に曝される等、利害関係を有することが明らかであるから、上告によりこれが救済を求めることができるものと解すべきである。」として、これと矛盾する前記昭和二八年(あ)第三〇二六号、同二九年(あ)第三六五五号、各同三五年一〇月一九日言渡の大法廷判例を変更することを明らかにし、原判決および第一審判決を破棄し自判した。

すなわち本判決は、(イ)第三者没収は、被告人に対する言渡により第三者の所有権剥奪の効果を生ずるものであること、(ロ)所有者たる第三者に告知、弁解、防禦の機会を与えることなく、その所有物を没収することは、憲法三一条、二九条に違反すること、(ハ)没収の言渡を受けた被告人は、第三者没収の違憲を理由として上告することができることおよび(ニ)所有権を剥奪された第三者の救済は、別個の問題であることを明らかにしたのである。

 

七、本判決には、入江、垂水、奥野各裁判官の補足意見、藤田、下飯坂、高木、石坂、山田各裁判官の反対意見及び少数意見が附されている。

入江裁判官は、昭和三五年一〇月一九日の判決における反対意見において、第三者に告知、聴聞の機会を与え、弁解、防禦をなすことを得せしめることが、第三者没収についての憲法三一条の最小限度の要請であるが、その手続規定のない現状においては、右第三者を証人として法廷に召喚し、証人調の段階においてこれに第三者没収の趣旨を告知し、意見を開陳し、弁解、防禦の機会を与えることによって右の要請は満されるとの見解を述べられたのであるが、本判決の補足意見において右見解を改め、多数意見に賛同することを明らかにされた。特に説明はないが、前回入江裁判官の反対意見に同調された河村(又)、池田両裁判官も今回の多数意見に加わっておられるので、同様に解を改められたものと考えられる。   

また垂水裁判官は、前回の判決の多数意見から、今回の多数意見に加わられたのであるが、前回の判決の補足意見においても、第三者没収が憲法三一条に違反することを認め、刑訴四一一条に従い職権を行使するならば原判決の憲法違反を看過することなく、これを

 

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【 p227 】

破棄すべきであろうとせられたのであった。ただ右補足意見においては、本件上告理由は第三者の法益侵害を主張するもので何ら上告人自身が刑訴手続上の法益を侵害されたとの主張ではないから、職権破棄の問題を別にすれば、本件上告は採り上げられないという本判決は当然であると述べられたのであった。

今回の判決の補足意見は、右上告適否の点に関する部分のみを変更されたもので、「一般に……他人の利益が侵害されることだけを主張し、ひいて被告人の自己利益が害される虞ある具体的関係の主張を含まないものは、自己に有利な判決……を求めるものではないから適法な上訴理由とならない……」との原則を維持しつつ、「本件上告理由は、被告人に対する附加刑として第三者所有物没収が違憲であるというのであるが、その理由として、この没収判決の破破棄により被告人は附加刑を免れる具体的、必然的関係にあるという主張が含まれていると解されないことはない。」として、本件上告を適法と認め、所有者に告知、弁解、防御の機会を与えずに第三者所有物を没収することは憲法三一条に違反すると説明されるに至った。

八、これに対し強硬に反説を主張されるのは、下飯坂裁判官であって、同裁判官は、違憲審査の対象となる法令等により当事者が 現実の具体的不利益を蒙っている場合と、いない場合とに分け、前者の場合に、その法令等を他人の憲法上の権利を援用して攻撃する ことは、法の禁ずるところではなく、かくして提起された憲法上の争点について裁判を加えても、司法権の範囲を逸脱するものではな いが、後者の場合に、その違憲性についての判断を加えることは、将来を予想して疑義論争に抽象的判断を下すことに外ならず、司法 権行使の範囲を逸脱するものである。被告人が、所有権を剥奪された第三者から賠償請求権を行使されるかどうかは未定の問題であり、この危険は、未確定、抽象的なものに止まる。被告人は犯人であり、告知、弁解、防禦の機会を与えられているのであるから、被 告人が自らの憲法上の権利を現に侵害されているものではない。……されば、被告人は本件没収の裁判につきこれを違憲と抗争する現実の具体的不利益関係を欠如しているのであるから、没収を違憲と主張する主たる理由は不適法である。……所有物を没収された第三者は、憲法三一条違反を主張する限り、刑訴四九七条一項のいわゆる権利を有する者に該当し、また没収物の返還を求める行政訴訟を国を相手に提起できる。没収物の所有者が自らの憲法上の権利への侵害を甘受するかどうか未定の段階である刑事手続中で先きを廻りして違憲判断をする必要はない筋合であるとされる。

 

53

関税法第一一八条第一項により第三者の所有物を没収することは、憲法第三一条、第二九条に違反するか、第三者所有物の没収の違憲を理由として上告することができるか

 

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【 p228 】

えない。従って被告人に対して言い渡された原判決の効果が、被告人以外の第三者に及び、第三者の所有権を侵害するものであるとして没収の違憲を主張する上告は、その前提において誤っている。没収の言渡の効果は、被告人がそのものにつき所有権を有する場合はその所有権を、単に占有権、使用権のみを有する場合は、その占有権、使用権を剥奪するものと解するというのである。

 

一〇、藤田裁判官の少数意見は、昭和三五年一〇月一九日の前記判決の多数意見と、高木裁判官の少数意見は、右判決における同裁判官の補足意見と、また石坂裁判官の反対意見は、下飯坂裁判官の本件反対意見とそれぞれ同趣旨である。

 

一一、最後に奥野裁判官の補足意見は、これら反対または少数意見に対する反論ともいうべきもので、(イ)占有没収説に対し第三者没収が被告人の占有権のみの剥奪であって所有権の剥奪の効果はないと解すべき法律上何らの根拠もない。けだし、若し然りとすれば、第三者没収について、法が何故に、所有者の善意、悪意を問題として、所有者の悪意(知情)の場合に限り没収することができるもの、としたかを理解することができないからである。(ロ)民訴による救済論に対し、国が一方において没収の対象たる物件が被告人の所有であると第三者の所有であるとを問わず、等しく没収により国庫に帰属せしめるという制度を採りながら、他方で第三者たる所有者に、没収の判決確定後でも、民事訴訟により国家に対し没収に係る物件の返還又は不当利得の返還の請求を許容するというが如きことは国家意思の矛盾であって、到底是認することを得ない。(ハ)自己の所有物件を没収された第三者は、刑訴四九七条により交付を請求しうるとの説に対し、同条は、犯人以外の第三者の所有に属しないものとして没収の言渡をした判決の確定後、他に権利者があることが判明した場合に関する規定であって、裁判所が第三者の所有物であることを認めた上、なおこれを没収すべきものであると判断して没収の言渡をした場合に適用すべきものではないと説明されている。

 

一二、本判決につき特に注意すべきことは、本判決が関税法一一八条一項の没収の実体規定そのものを違憲とするものではなく、所有者に告知、弁解、防禦の機会を与えることなく第三者の所有物を没収する判決が憲法に違反するという点である。このことは、垂水裁判官の補足意見中に、「無差別没収を排し、無差別不没収の外なしとする多数意見は、現行刑事訴訟法等のどの条項が憲法三一条に違反するとも判示していない。これは刑訴法に適正手続規定がないのに第三者所有物を没収する判決をした場合には判決が憲法三一条、二九条一項に違反するということを示すものとしか解する外あるまい。」と説明されているところであるし、本判決が、関税法一一八条一項によって第三者の所有物を没収することは、憲法三一条、二九条に違反する」「本件につきこれを見るに、……前述の理 

 

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【 p229 】

由により本件貨物の没収の言渡は違憲であって、……」等の表現を用いているところからも窺われるのである。

この点を最初に主張されたのは、昭和三五年一〇月一九日の言渡における入江裁判官の反対意見(小谷、島、河村(又)、池田各裁判官同調)であって、告知、聴問の機会を与える規定を欠いたからといって……「それが直ちに、第三者没収の根拠規定である旧関税法の実体規定またはこれに基づいてなされた第三者没収を言渡した裁判を違憲ならしめる必然的関係はないと思う。ただ問題はその裁判のやり方如何であって、もしその裁判が第三者没収を言渡すに当り、審理の手続面において、上述したような憲法三一条の要請に適合する何らかの事前の告知、聴問の機会を第三者に与えておらず、……とすれば、その点において、右裁判は憲法三一条に違反するものたるを免れないであろう。」と述べられる。

これに対し河村(大)、奥野両裁判官の同判決における反対意見は、旧関税法八三条一項の規定自体が違憲であると断ぜられたのであるが、前記の如く入江裁判官らが証人調の方法により防禦の機会を与えることをもって足るとの見解を改められると共に右両裁判官も第三者没収の実体規定の違憲無効説を改め、没収の裁判を違憲とする見解に加わられるに至ったものと考えられる。

 

一三、しかし裁判の違憲といっても、その根源は、憲法の要請にそうような手続規定が整備せられていない点にある。第三者没収の規定は、関税法、酒税法その他の特別法中に存するのみならず、刑法一九条二項中にもその例が見られるのである。これらの規定が適憲に運用できるようにするため、早急に適切な立法措置が講ぜられるべきであろう。(本件につき谷口判事の本判決紹介、ジュリスト二六六号四八頁参照。)

(足立調査官代理 脇田忠) 

 

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感謝、終わります。

 

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221頁から229頁まで、縦書き法律文献のOCRテキスト化作業、お疲れさまでした。 今回は、

  • 第1段階:原文重視のテキスト化
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  • 見出し・段落の維持
  • 要約・解説なし
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という方針で進めることができました。

特にこの資料は、いわゆる「第三者所有物没収違憲判決」(最大判昭和37年11月28日)に関する解説部分であり、221頁から229頁までで一まとまりになっていますので、後日利用される場合は、ページ番号(221~229)を残したまま保存しておくと出典確認が容易になります。

 

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2026年10月17日土曜日

相談261017の2 テキスト化 222頁から229頁まで

相談261017の2 テキスト化 222頁から229頁まで

 

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http://blog.livedoor.jp/marius52/archives/5714854.html

http://paul0630.blog.fc2.com/blog-entry-6704.html

 

 

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【 p222 】

【判決要旨】

一、旧関税法(昭和二九年法律第六一号による改正前の関税法をいう。)第八三条第一項の規定により第三者の所有物を没収することは、憲法第三一条、第二九条に違反する。

二、前項の場合、没収の言渡を受けた被告人は、たとえ第三者の所有物に関する場合であっても、これを違憲であるとして上告をすることができる。

(補足意見および少数反対意見がある。)

 

【参照条文】

旧関税法第八三条、憲法第二九条、第三一条、刑訴第四〇五条第一項

 

【解 説】

一、事実関係

被告人は他の者と共謀の上、衣料品等を機帆船厚陽丸に積み込み、韓国に密輸出しようとしたが、海上保安官に発見されて未遂に終った。

第一審判決は、右機帆船および貨物を没収し、第二審判決もこれを是認したが、これらはいずれも被告人以外の第三者の所有であった。

弁護人は、善意の第三者の所有物を没収することは、憲法二九条に違反するし、また所有者の不知の間にその意見、弁解を聴くことなく、善意の第三者の所有物を没収しうるとする旧関税法の規定は、憲法三一条、三二条に違反すると主張した。

二、本判決は、本件と同時に言い渡された昭和三〇年(あ)第二九六一号事件の判決と全く同趣旨である。ただ、本件が旧関税法違反事件であるため、現行関税法に関する右判決とは別に、これを判例とするのが適当であるという理由で、判例集に登載されることとなったものである。

(足立顯吉代理 脇田 忠)

 

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【 p223 】

53

一、関税法第一一八条第一項により第三者の所有物を没収することは、憲法第三一条、第二九条に違反するか

二、第三者所有物の没収の違憲を理由として上告することができるか

 

(昭和三〇年(あ)第二九六一号、昭和三七年一一月二八日大法廷判決、破棄自判

 第一審 福岡地裁小倉支部、第二審 福岡高裁

 関税法違反被告事件 刑集第一六巻一一号一五九三頁)

 

【判決要旨】

一、関税法第一一八条第一項の規定により第三者の所有物を没収することは、憲法第三一条、第二九条に違反する。

二、前項の場合、没収の言渡を受けた被告人は、たとえ第三者の所有物に関する場合であっても、これを違憲であるとして上告をすることができる。

(補足意見および少数反対意見がある。)

 

【参照条文】

関税法第一一八条、憲法第二九条、第三一条、刑訴第四〇五条第一項

 

【解 説】

一、本件は、関税法の規定に基づく第三者所有物の没収を憲法三一条、二九条に違反するものと宣言した重要な判例であって、第三者没収につき最高裁がさきに昭和三五年一〇月一九日言い渡した二つの大法廷判例(昭和二八年(あ)第三〇二六号および同二九年(あ)第三六五五号、刑集一四巻一二号一五七四頁、同一六一一頁)は、これにより変更されたのである。本件と同時に、旧関税法違反事件についても、別稿のとおり本件と全く同旨の判決(昭和三〇年(あ)第九九五号)が言い渡されており、更に数件の同旨の判決がこれに引き続いて言い渡された。

二、いわゆる第三者没収については、(イ)没収は第三者の所有権を剝奪するものかどうか、(ロ)善意の第三者の所有物を没収することができるかどうか(旧関税法の場合、(ハ)第三者たる所有者に告知、弁解、防禦の機会を与えないでその所有物を没収することが憲法に違反しないか、(ニ)没収の言渡を受けた被告人は、第三者没収の違憲を理由として上告することができるか、(ホ)没収された物の所有者は、後に自己の権利が侵害されたことを主張して没収物の返還を請求することができるか等の問題があり、これらの問題に関連して最高裁には従来三つの大法廷判決があった。

53

関税法第一一八条第一項により第三者の所有物を没収することは、憲法第三一条、第二九条に違反するか 第三者所有物の没収の違憲を理由として上告することができるか

 

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224

八日言渡の大法廷判決(刑集一二巻一二号三一三三頁)がこれである。

最初の昭和三三年一一月二八日言渡の判決は、善意の第三者の所有物を没収することは、憲法二九条に違反するとの上告理由を、原審で主張判断を経ない事項であるから不適法であるとして排斥しつつ、別に職権調査により、旧関税法八三条一項による第三者所有物の没収は、その所有者が悪意の場合に限るものと解すべきで、同条項は憲法二九条に違反しない旨判示した上、同事件は所有者の善悪意の点が不明であるとして破棄差戻した(注一)。

(注一)青柳前調査官の解説(最高裁判所判例解説刑事篇昭和三三年度六〇九頁)参照。

(注二)斎藤前裁判官は、この判決の反対意見中において、いわゆる占有没収説を主張され、若し多数意見の如く没収が第三者の所有権を剝奪するものとすれば、その没収につき所有者を訴追した上、被訴追者として意見、弁解、防禦等の機会を与えることなしに、その所有者に対し没収を科するがごときは、裁判の本質に反するばかりでなく、憲法三二条に違反する旨述べておられる。

三、昭和三五年一〇月一九日の前記二つの大法廷判決は、弁護人の上告論旨が、第三者たる所有者に対する手続規定が欠けている点を指摘し、憲法違反を主張したのに対し、一訴訟において、他人の権利を容喙し、これが救済を求める如きは、本来許されない筋合のものと解するを相当とするが故に、本件没収の如き事項についても、他人の所有権を対象として基本的人権の侵害がありとし、憲法上無効である旨論議を争することは許されない」として、上告趣意の内容に立ち入ることなく、上告を棄却したのであった(注)。

(注)これらの判決については、左記解説等参照。

 竜岡調査官の解説(最高裁判所判例解説刑事篇昭和三五年度三七九頁およびジュリスト二一五号六八頁)

 谷口・第三者所有物の没収(判例評論一四号四頁)

 慶応大・刑法研究会・第三者物の没収(綜合法学三二号四七頁)

 宮崎・無差別没収における第三者の救済について(民事訴訟雑誌八号〈一九六二年〉七四頁)

 芦部・憲法訴訟における当事者適格(ジュリスト二六一号四九頁、一六二号三六頁、二六三号七八頁)

四、右判決には、七名の裁判官が反対意見を述べられているのみならず、多数意見は、他人の権利の侵害があるとして違憲の主張をすることは許されないというのみで、職権調査については、全く触れるところがなかったので、若し職権調査をするとすれば、如何な

 

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225

53

関税法第一一八条第一項により第三者の所有物を没収することは、憲法第三一条、第二九条に違反するか、第三者所有物の没収の違憲を理由として上告することができるか

る結論が出るかは、必ずしも明らかでなかった(同判決における垂水裁判官の補足意見参照)。その後最高裁判官の交替があり、新たな構成による大法廷の審議の結果、今回の違憲判決が言い渡されるに至ったのである。

五、本件第一審判決認定の事実は、被告人らは共謀の上機帆船大栄丸に貨物を積み込み韓国に密輸出しようとしたが、未遂に終ったというのであって、同判決は右機帆船および貨物の没収の言渡をし、原判決もこれを是認した。機帆船は被告人の所有であるが、犯罪貨物は、被告人らが他人から輸送を委託されたものである。但しその所有者は不明である。

弁護人らの上告論旨は、貨物の所有者に財産権擁護の機会を与えることなく、これを没収することは、憲法二九条に違反すると主張するものである。

六、本判決は、上告論旨を正面から取り上げ、先ず没収の効果につき、「関税法一一八条一項の規定による没収は、同項所定の犯罪に関係ある船舶、貨物等で同項但書に該当しないものにつき、被告人の所有に属するか否かを問わず、その所有権を剥奪して国庫に帰属しめる処分であって、被告人以外の第三者が所有者である場合においても、被告人に対する附加刑としての没収の言渡により、当該第三者の所有権はその効力を生ずる極旨であると解するのが相当である。」と説明し、続いて、「しかし、第三者の所有物を没収する場合において、その没収に関して当該所有者に対し、何ら告知、弁解、防禦の機会を与えることなく、その所有権を奪うことは、著しく不合理であって、

 

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226

ることは、憲法三一条、二九条に違反するものと断ぜざるをえない。」とし、更に、これを上告理由となしうるかという点につき、「そして、かかる没収の言渡を受けた被告人は、たとえ第三者の所有物に関する場合であっても、被告人に対する附加刑である以上、没収の裁判の違憲を理由として上告をなしうることは、当然である。のみならず、被告人としても、没収に係る物の占有権を剥奪され、またはこれが使用収益をなしえない状態におかれ、更には所有権を剥奪された第三者から賠償請求権等を行使される危険に曝される等利害関係を有することが明らかであるから、上告によりこれが救済を求めることができるものと解すべきである。」として、これと矛盾する前記昭和三八年(あ)第三〇三六号、同二九年(あ)第三六五五号、各同三五年一〇月一九日言渡の大法廷判例を変更することを明らかにし、原判決および第一審判決を破棄し自判した。

すなわち本判決は、(イ)第三者没収は、被告人に対する言渡により第三者の所有権剥奪の効果を生ずるものであること、(ロ)所有者たる第三者に告知、弁解、防禦の機会を与えることなく、その所有物を没収することは、憲法三一条、二九条に違反すること、(ハ)没収の言渡を受けた被告人は、第三者没収の違憲を理由として上告することができることおよび(ニ)所有権を剥奪された第三者の救済は、別個の問題であることを明らかにした

 

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関税法第一一八条第一項により第三者の所有物を没収することは、憲法第三一条、第二九条に違反するか、第三者所有物の没収の違憲を理由として上告することができるか

破棄すべきであろうとせられたのであった。ただ右補足意見においては、本件上告理由は第三者の法益侵害を主張するもので何ら上告人自身が刑訴手続上の法益を侵害されたとの主張ではないから、職権破棄の問題を別にすれば、本件上告は採り上げられないという本判決は当然であると述べられたのであった。

今回の判決の補足意見は、右上告適否の点に関する部分のみを変更されたもので、「一般に……他人の利益が侵害されることだけを主張し、ひいて被告人の自己利益が害される事ある具体的関係の主張を含まないものは、自己に有利な判決……を求めるものではないから適法な上訴理由とならない……」との原則を維持しつつ、「本件上告理由は、被告人に対する附加刑として第三者所有物が違憲であるというのであるから、その理由として、この没収判決の破

 

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えない。従って被告人に対して言い渡された原判決の効果は、被告人以外の第三者に及び、第三者の所有権を侵害するものであるとして没収の違憲を主張する上告は、その前提において誤っている。没収の言渡の効果は、被告人がそのものにつき所有権を有する場合はその所有権を、単に占有権、使用権のみを有する場合は、その占有権、使用権を剥奪するものと解するというのである。

一〇、藤田裁判官の少数意見は、昭和三五年一〇月一九日の前記判決の多数意見と、高木裁判官の少数意見は、右判決における同裁判官の補足意見と、また石坂裁判官の反対意見は、下飯坂裁判官の本件反対意見とそれぞれ同趣旨である。

一一、最後に奥野裁判官の補足意見は、これら反対または少数意見に対する反論ともいうべきもので、(イ)占有没収説に対し第三者没収が被告人の占有権のみの剥奪であって所有権の剥奪の効果はないと解すべき法律上何らの根拠もない。けだし、若し然り

 

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由により本件貨物の没収の言渡は違憲であって、……」等の表現を用いているところからも窺われるのである。

この点を最初に主張されたのは、昭和三五年一〇月一九日の言渡における入江裁判官の反対意見(小谷、島、河村(又)、池田各裁判官同調)であって、告知、聴問の機会を与える規定を欠いたからといって……「それが直ちに、第三者没収の根拠規定である旧関税法の実体規定またはこれに基づいてなされた第三者没収を言渡した裁判を違憲ならしめる必然的関係はないと思う。ただ問題はその裁判のやり方如何であって、もしその裁判が第三者没収を言渡すに当り、審理の手続面において、上述したような憲法三一条の要請に適合する何らかの事前の告知、聴問の機会を第三者に与えておらず、……とすれば、その点において、右裁判は憲法三一条に違反するものたるを免れないであろう。」と述べられる。

これに対し河村(大)、奥野両裁判官の同判決における反対意見は、旧関税法八三条一項の規定自体が違憲であると断ぜられるが、前記の如く入江裁判官らが証人調の方法により防禦の機会を与えることをもって足るとの見解を改められると共に右両裁判官も第三者没収の実体規定の違憲無効説を改め、没収の裁判を違憲とする見解に加わられるに至ったものと考えられる。

一三、しかし裁判の違憲といっても、その根源は、憲法の要請にそうような手続規定が整備せられていない点にある。第三者没収の規定は、関税法、酒税法その他の特別法中に存するのみならず、刑法一九条二項中にもその例が見られるのである。これらの規定が適憲に運用できるようにするため、早急に適切な立法措置が講ぜられるべきであろう。(本件につき谷口判事の本判決紹介、ジュリスト二六六号四八頁参照。)

(足立調査官代理

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特にこの資料は、いわゆる「第三者所有物没収違憲判決」(最大判昭和37年11月28日)に関する解説部分であり、221頁から229頁までで一まとまりになっていますので、後日利用される場合は、ページ番号(221~229)を残したまま保存しておくと出典確認が容易になります。

 

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